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食道炎・Barrett食道

食道炎とは

食道炎とは食道炎は食道の粘膜が炎症を起こし、びらんや潰瘍を形成する疾患です。
主な症状としては胸やけ症状や酸が上がってくる感じですが、程度によっては飲み込みづらさ(嚥下困難)、のどの痛み(咽頭痛)、慢性的な咳、貧血・吐血の原因となることもあります。

 

食道炎の原因

原因は多彩であり、最も多いものは胃酸が逆流することで起きる逆流性食道炎です。他にもアレルギーに起因する好酸球性食道炎、薬剤の停滞に伴う薬剤性食道炎、強酸やアルカリによる腐食性食道炎、かびが原因となるカンジダ性食道炎、ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルスが原因となるウイルス性食道炎などがあります。

逆流性食道炎

逆流性食道炎胃酸が胃から食道に逆流することで食道炎を発症する疾患です。有病率は10%ほどで非常によく遭遇する疾患となります。過食や肥満、ストレスなどで胃酸の分泌能を高まることが一因となります。またピロリ菌に感染していない方や除菌後の方も胃酸の分泌能が高く起こしやすくなります。
特に近年はピロリ菌未感染の方・除菌後の方がほとんどであることから有病率が増えてきているとされています。また、構造的に胃酸が逆流しやすい素因、例えば食道裂孔ヘルニアや、食道や胃の手術後の方も起こしやすいです。
治療に関しては、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの内服によって行います。症状が強い方や、内視鏡的に程度が強い方は出血・狭窄の合併症の予防のため治療適応となります。

好酸球性食道炎

アレルギーに起因すると推定される食道炎であり、症状としては飲み込みづらさやつかえ感が多いです。気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの疾患を併存していることも多いです。内視鏡で縦走溝や気管様狭窄といった独特の所見を認め、組織検査で好酸球の浸潤が確認されたら診断がつきます。
これらの所見自体は珍しいものではなく、健診などでも比較的よく遭遇しますが、多くの方は無症状です。症状がある際は、まずはプロトンポンプ阻害薬(PPI)で治療を行いますが、無効な場合は吸入ステロイドの嚥下療法を行うこともあります。

食道炎の検査

食道炎は胃カメラの検査で食道を観察することで診断することができます。
当院は鎮静剤や細径内視鏡を用いて苦痛のない検査を目指しています。胸やけ・嚥下困難・心窩部痛などの症状がある際は食道炎が原因となっている可能性がありますため、ぜひご相談ください。胃カメラに関しまして事前診察なしで当日WEB予約も可能で検査しやすい状況を整えています。
当院の胃カメラ検査の特徴は①スムーズな予約から検査の体制、②徹底した鎮静剤の調節による苦痛の除去、③AI技術による最新の検査設備の3点を考えています。

食道炎の治療

上記の通り、食道炎は一番多いのは逆流性食道炎ですが、それ以外にも様々な原因があります。逆流性食道炎では基本的にはプロトンポンプ阻害薬(PPI)など胃酸の分泌を抑える薬による治療が主体になりますが、それぞれの原因に応じて適切な治療を提案させていただきます。
逆流性食道炎の治療目標は症状の軽減と合併症の予防でありますため、必ずしも全員が治療適応となるわけではありません。症状が強い方や内視鏡的に程度が強く合併症のリスクがある方が治療対象となります。
また逆流性食道炎であれば生活習慣の改善も重要とされています。肥満や過食、食後すぐ横になる生活習慣、就寝前の遅い時間の夕食などが原因となりえるためそういった生活の改善も重要となります。

Barrett食道とは

健診の胃カメラなどでBarrett食道という所見を指摘されたことがある方も多いと思います。これも食道炎に関連した病態であり、胃酸が食道に逆流することで、炎症が起き、その修復過程で食道の粘膜が胃の粘膜に変化する所見と考えられています。
バレット食道の範囲によってSSBE(short segment Barret’s esophagus)、LSBE(long segment Barret’s esophagus)に分類され、具体的にはLSBEは全周性に長軸方向で3cm以上にわたってバレット粘膜で置き換わっている状態とされています。日本ではLSBEを見ることは1%以下で非常に少なく、指摘される方のほとんどがSSBEです。LSBEの方は発がんリスクが高まるとされていますが、ほとんどの方が軽度のSSBEであり、発がんリスクが高まるという報告は乏しく現状は不明です。
LSBEの方は発がんのリスクから定期的な内視鏡の経過観察が推奨されていますが、SSBEの方は程度によりますが必ずしも内視鏡でのフォローアップが必要とはされていません。基本的に日本ではBarrett食道があるというだけで治療は必要せず、程度に応じて経過観察となります。